規制緩和と産業政策について

雑誌voiceの鼎談などパラパラ見た感想。
 例えば、経済学者の宇沢弘文先生が激しく非難した施策だが、大蔵大臣当時の田中角栄氏による「道路建設費と道路維持費を広く車輛からとることにして、その中で課税を傾斜させ、一般財源も加味して集中的に運輸業を保護する」という政策がある。
 重量税でまかなわれる道路維持費を例にとると、道路損耗は車輛の軸重の三乗にほぼ比例する。軸重が1t+1tの普通乗用車から2万円とったら、軸重が5t+9t+9tのトラックからは1583万円とらないと計算があわない。もちろんこれだけの負担をしてトラック運輸業が成立する事はかなり困難だ。だから国の政策で、車輛一般から広く税金をとって、一般財源をあわせ、運輸業の成立を支えているわけだ。
 この「特定産業への傾斜配分」なしでは郵政はおろか国鉄の民営化すら不可能だったのではないかと思うのだけれど、どうなんだろう。