道路特定財源の仕組み

http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20090515/p2
↑の補遺
鉄道網のみに頼った一次元的な輸送力を二次元に広げるのに日本政府がどうしたかってことなんだけど、

全国的な鉄道網である国鉄を独立採算化して、「インフラ整備のための資本」と「維持管理費用」とをともに料金だけからとらないといけない事にする。資本調達の手段がない国営独立採算企業だから、いくら値上げしても追いつかず赤字が蓄積するので確実に料金を上げられる。

一方で、

  • 道路には一般財源1:特定財源1で「インフラ整備」と「維持管理」を行う。
  • 特定財源は原則「受益者負担」にする。
  • 特定財源名目上は受益者負担ではあるが、事業目的の受益者は減税する
  • インフラ整備はガソリンを中心に課税して軽油を免税する
  • 維持管理費用は「軸重の2乗に反比例する累進税」にして重い車ほど負担が少なくする*1

という形で事実上トラック事業者には資本も費用もほぼ負担しないで事業を行える状態をつくった。*2

たんなる傾斜配分じゃなくて傾斜配分の3階建ての「3重の大きい政府」システムでトラック輸送事業に税金投入するシステムなんだね。おそらくこれほどの重点化は他にないんじゃないかと思ってる。

でまあ、一見、自由市場に見えて、貨物輸送にトラックをつかうと余分に払った税金が安い料金を通じて還付されるけど、他の手段を使うと帰ってこないということで、「トラックを利用しないと損な仕組み」ができたんだね。

この仕組みで、エネルギー効率も人件費効率も資本効率も悪く高コストなトラック輸送が成立して、資本に匹敵するほど累積赤字がたまった国鉄を国が手放しても大丈夫なくらいトラック輸送が発達した。手紙や小包みたいなものを全国に配送する事業が民間でもできるまでになった。

で、こんだけの事が出来る奴が官僚にいたら、民間で大金持ちになるのも不可能じゃないだろうけど、どっちがたのしいかねぇ。

追記:
僕は「政府による資源の傾斜配分」が不効率だってのは信じてるけど、「傾斜配分あっての構造改革規制緩和」みたいなチンケなものは一切信じてない。

*1:おまけにトレーラーは非課税

*2:特定財源の話でトラック事業者が「高い」とかほざくのは正直キモイです。他の人がどれだけ負担してると思ってるんですか。