ホンダの新ハイブリッド

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38044120090517?sp=true

福井社長は「(現行の機構は)大きな車に向いていない。『アコード』や(SUV)の『CR−V』クラス(のインサイトより大きな車)に対応しなくてはならず、(撤退した)F1の技術者も投入して研究している」と語った。その上で「現行の機構だけにこだわらない。何種類かのハイブリッドシステムに取り組んでいく」と表明した。時期は決まっていないが、2つのモーターを搭載した機構を開発する。

ホンダのハイブリッド(IMA)はパワーソースのハイブリッドで、エンジンをエンジン+モーター(兼発電機)に置き換える。
(エンジン+モーター)→トルクコンバータトランスミッション→ドライブシャフト
シンプルなハイブリッドで、これで回生とアシストというハイブリッドの基本を実現している。信頼性が高く、トラックのハイブリッドは試作車まで含めて、実はこの方式。現行のベンツのハイブリッドも。だから、重い車に適さないということもないはず。どんな車でも一定の効果は見込める方式だろうと思う。

トヨタのTHSやフォードのハイブリッド(いずれもアイシンAW系)はトルクコンバータを二軸分配機構と1モーターからなる可変トルクコンバータに置き換え、1モーターを出力軸(ドライブシャフト)に接続する。
エンジン→可変トルクコンバータ→出力軸+モーター(→トランスミッション*1 )→ドライブシャフト
可変トルクコンバータはエンジントルクの機械的な伝達率を0-100%で変化させる。モーターの軸回転数が許せばドライブシャフトの回転数とエンジンの回転数に対応関係がなくても良い*2ので、制御の自由度が高い。
たとえば車速0(ドライブシャフト回転数0)からの加速時にはエンジンとドライブシャフトを機械的に切り離してしまい、モータートルクだけで発進できる。バッテリーに十分な電気があればエンジンは動く必要がないし、電気がなければ効率のいい回転数でモーターを回して発電し、ドライブシャフトのモーターへの給電(余剰があればバッテリーの充電)をしている。通常のトルコンや半クラッチのように滑り(エネルギーの投棄)を発生させてエンジンとドライブシャフトの回転数を調停する必要がないのが特徴。問題は、発電→モーター出力の変換ロスが小さいセッティングでないと十分な性能が出ない事だったけど、高効率のインバーターと交流同期モーターのおかげで実現したのだろう。開発ベースがプリウスだった事で重量車への対応*3がやや遅れた感じ。

で、ヨーロッパやアメリカの比較的重い車*4がどうなるのかっていうと、トランスミッションの内部に何個かのモーターを組み込むことをやってるそうだ。*5

BMWさんやホンダさんが何をやりたいのかは不明なんだけど、クラッチ/トルコンが必須なシステムかどうかが気になる所。
ただ、それほどたくさんの方式は生き残る必要がないだろうという気がする。

*1:初期/二代目プリウスでは存在しない。

*2:小型軽量車ではミッションすらいらなくなる。従って通常の車でトルクコンバータやミッションをデッドウエイトと言わない以上、THSはデッドウエイトにはなり得ない。重いトルコンや重いミッションではあるかもしれないが。

*3:トランスミッションは2段変速で必要充分なんだが、既存技術ではそんなもんないので最初のエスティマとかには普通のトランスミッションが搭載された

*4:比較的に私の興味を引かない車でもある

*5:BMW JAPANのページ見たら「すでに1985年の段階で、ハイブリッド・テクノロジーを採用した5 シリーズを発表」だってさ。それ言ったら「トヨタは1977年にハイブリッドスポーツ車を発表」だし、ニッサンに合併されたプリンスは「たま電気自動車」だったんだよwすげーだろ!