変な言い回し

YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090521-OYT1T00329.htm

 舛添厚生労働相は21日午前の参院予算委員会で、米ニューヨークからの帰国翌日に新型インフルエンザへの感染が確認された東京都八王子市と川崎市の女子高校生2人について、「関西とは違い、国内での人から人への感染というよりも、むしろニューヨーク(で感染した)」と語った。

 一方で、「(新型は)かなり国内にまん延してきている。水際対策から(重点を移して)国内対策を重視し、臨機応変に国民の健康・安全を守るとともに、国民の利便性も考えないといけない」と述べた。民主党大塚耕平参院議員の質問に答えた。

東京都や神奈川県で採用されている厚生労働省の症例定義*1に従えば、「アメリカ/カナダ/メキシコ/関西*2渡航歴のないインフルエンザ様の疾病」なら「新型インフルエンザではない*3」となる。したがって東京都と神奈川県では「国内感染の新型インフルエンザ」はほぼありえない。(追記)東京や神奈川で、新型インフルエンザの国内感染患者がたくさん出る心配はいらない。
 定義の問題なので、どれほど域内に新型インフルエンザウィルスが蔓延して、インフルエンザ様の症状の患者が発生しても、「新型インフルエンザ」と診断されるのは渡航歴のある人と濃厚接触者だけで数量的にはさほど発生しない。*4
 仮に、アメリカ、カナダ、メキシコに最近渡航しておらず、渡航した人と接触した事がない人が新型インフルエンザウィルスに感染しており、インフルエンザ様の症状が出ていたとする。東京や神奈川でこれを「新型インフルエンザ」と診断すると、誤診であるということになる。

 神戸市のおかげで厚生労働省の症例定義に従わなくなった関西では、「インフルエンザ様の疾病で、新型インフルエンザウィルスに感染していれば、新型インフルエンザ」になった。

 厚労省/東京都/神奈川県と神戸市とでは「新型インフルエンザ」という病気の「定義」が違うのだから、調査結果を比較するような事は言ってははいけない。

臨機応変にも程がある。

追記:
定義の違う数字を足すのもだめだよ。

*1:参考:http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090509-01a.pdf

*2:18日以降関西が追加されているようなので追記したが、厚生労働省では追加されてないようだ。東京都では消極的に追加。

*3:だから、ウィルスの同定検査は非常事態下の不要不急の行為であり、やってはいけない。

*4:追記:奈良県でも1117人のインフルエンザ様患者のうち、新型インフルエンザの可能性があって検査したのは7人だけだそうだ。たぶん1110人は、「あなたか、あなたのご家族はアメリカ/カナダ/メキシコに行きましたか?」、「いいえ」→「新型インフルエンザ」ではない。