労組が強かったのかなぁ

GMが「やっと」チャプター11を申請した。
一部新聞は「労組が強すぎた」からGMは力を失ったみたいな事を書いていたが、そうなんだろうか?GMの経営者が言ってるんじゃなくて、株式投資をする人がよく買う新聞が社の意見として出してるんだけど、なんかヘン。

株式投資をする立場から見ると、それならば20年前にすでにGMは破綻してないといけなかったんじゃないのかな?

労組との交渉の結果、経営側が譲歩した。そういう事実はあるが、はるか昔の話だよね。そのために資本のほとんどが支払い予定の後払い賃金となってしまってたのは多分10年以上前でしょ。その時点で、払いきれないなら破綻だろうし、支援者を見つけて立ち直れるのなら増資だろうし。
クライスラーやフォードは成功も失敗もあるけど、そういう面でいろいろ試行錯誤して来たように見える。
しかし、GMについては会社の切り売りをしたくらいしか、思い当たらない。*1不勉強なだけかもしれないけど。

経営側がUAWに比べ相対的に弱かった。
そこから話をはじめたとしても、それ以降ずっとGMの経営者は「強がっていた」んじゃないかな?
その強がりがスルーされてしまって、UAWのような債権者に対するパワーを失う原因になったんじゃない?だって、相手が従業員/退職者でも銀行でも債務免除求めるって、それなりの危機感を経営陣が持たなきゃ絶対に成功しない気がするよ。
「労組が強すぎた」というより、経営側が「自らの弱さを認められなかった」、だから、従業員/退職者から金を借りて操業維持するしかできなかった。あるいは別の言い方をすれば、「経営が弱すぎた」んじゃないかなぁ。

「労組が強すぎるから」、なんて、経理も営業も製造も担当しないで人事総務畑だけ歩いてきて自社の良い所も悪い所も見えずに経営者になった人*2が「ぼくわるくないもん」のかわりに言いそうなセリフだよなぁ。*3
会社を経営するってすごく大変な事だと思うけど、「労組が強すぎる」とまとめちゃうと、「経営者は悪くない」みたいなヘンな甘やかしになるんじゃないだろうか。

*1:世界戦略の関係でいすゞに乗用車やめさせたり、いろいろやったけど、死に体になってた会社のバランスシートを改善する動きってなんかあったんだろうか。会社の切り売りも中途半端で、会社再生の一環というより自転車操業でやむなく、に見えた気がする。

*2:敗戦処理投手に見える

*3:逆境の会社の株買って、状況が好転すれば儲かるから投資家は金出すんでしょ。投資家にとっては状況が改善するかどうかが問題なんじゃないのかなぁ。投資先の経営者がそういう事言ったら損切り検討しなくちゃいかんのだけど。