金貰っても運用したくない乗り物がはした金で普及する可能性について

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090626k0000e040022000c.html

燃料電池自動車保有台数たった42台 予算は200億円
 環境に優しい燃料電池自動車を5万台普及させるために200億円近い国の予算が投入されたにもかかわらず、全国の保有台数は42台(07年度)にとどまっていることが26日、総務省政策評価で分かった。総務省は「多額の予算が投入された結果に見合った普及台数となっていない」と指摘。経済産業、国土交通、環境、総務の4省に対し、目標設定や普及促進策の改善を勧告した。

普及するわけがない。普通の自動車と違って、安全性が確認されていないし、遠くまで出かけたら帰って来れない。おまけに水素は規制が無茶厳しい。
 水素よりはるかに供給箇所が多いCNGですら運用にものすごく気を使わないとできない。個人では無理っていうか、田舎でも公共交通機関利用した方が楽。補給地点を経由するバス定期路線ですら、燃料補給にかかる人件費で補助金の利得なんてぶっ飛ぶ*1

 燃料電池車と同じコスト使えば、自家用車使わずに電車/バス/タクシー/ハイヤー好きなだけ乗れる。

 たった200億で普及できるなら、トヨタがとっくにやってるだろう。ニッサンだってやってるかもしれない。

 200億で出来る事って言ったら、50年経たないと普及しないだろう技術を20年後に普及可能かどうか10年後に見極められるくらいだろう。
 それよりも、その20年後のために、製造、貯蔵、供給、車載の各段階で水素ガスの規制をどうすればいいかあらかじめ検討できる側面支援がでかい。

 小泉政権時代に目玉政策だったせいで、ロクに金も出さんくせに大風呂敷広げたのがたたってるようにしか見えないな。

追記:
ちなみに3年で200億円は意思決定コストの国庫負担に比べればたいした事ない。政党助成金(年額315億円くらい)の8ヶ月分程度だし、衆議院予算(年額650億くらい)、参議院予算(年額400億円)はもっと高い。
基本的な意思決定にかかる固定費用が1500億円もあるのなら、たいていの事業費ははした金だろうと思うが........同一期間に国会が飲んだ予算は4000億円以上です。(数字間違ってた)



追記2:
 この程度の金額でおたおた言ってるようじゃ、今世界中で起きてるリチウム/コバルト/白金その他の資源の確保競争に韓国政府が出してる金額も出さねーだろうな。
 トヨタハイブリッド車にニッケル水素を搭載したのはある意味正解だ。日本の企業である限り今のプリウスの普及台数分のリチウムとコバルトを確保する事すら困難だろう。

追記3:
 私自身が燃料電池車についてどう考えているかというと、2000年頃と今も変わってなくて、水素燃料電池車は、生産/供給の面であまりにも必要投資額が多くて無理だと思っている。薪→炭→石炭→石油/電気とエネルギーの輸送コストが安い方にシフトしてきた歴史に鑑みても、効率的な輸送手段のないエネルギーは普及しないだろうと。
 生物的に固定した炭素を車載DCFC/DMFC/DEFCで利用するタイプの燃料電池車なら燃料の供給だけに多額の投資と大量の二酸化炭素排出が必要なんてことはないだろうし、トータルサイクルでのCO2エミッションが0にできればいいんじゃないの、というわけでまだ可能性があると思う。燃料電池の車載技術はそれにだって役立つし、大量のリチウム/コバルトがいる事は変わらないだろうから、200億が無駄になるかどうかはわからない。だが、現時点では水素燃料電池車の台数は少なければ少ないほど無駄が小さいと思ってる。

*1:それを会社が持つか従業員の努力で持つかが問題になってたりするようだ。