窒素充填は静粛化につながるか

 タイヤ交換したら窒素充填(有料)を勧められた。

 「タイヤ内部の酸素でゴムが酸化劣化するのを防ぐ」そうである。

「そうなのかも知れないけど、現に酸化劣化する前にタイヤが減って要交換となっているのでいりません」と言った。

そしたら「エアの抜けが減って低圧走行しなくなってタイヤが長持ちします。」と食い下がって来た。

いや、エアのチェックってのは走行の度にするもので、少なくとも1000km走行に一回はちゃんと圧をはかるべきだろう。ちなみにプリウスは標準圧+0.1kgf/cm2で燃費がよいけどブレーキ性能は如実に悪化して片摩耗する。ブレーキ性能は標準圧-0.1の時が高い感じだけど燃費は悪い。結局標準圧以外の選択肢はないのだから、車をいい状態に保つためには結構頻繁にエアを入れる必要がある。その度に毎月窒素充填(有料)すんの?*1

「そうなのかもしれないけど、定期的に圧計って低圧走行しないから」と答えた。

そしたら「内部で結露しないからホイールの錆が減ります」と言って来た。
仕方がないので「コンプレッサーで圧縮する時にきちんと水抜きしたエアを減圧して使ってればまず結露しないけど、ここ、エアに水混じってるの?」と聞き返した*2

そしたら、「音も変わって静かになる」とか言い出した。

 音が変わるのは当たり前で、同温同圧では音速は分子量の-1/2乗に比例する。軽い気体ほど音速が早く、同じ楽器で共鳴させた時にチューニングは高めになる。ギターの高音弦は軽いもの使ってるし、ヘリウムガス吸うと変な声出ますがな。
 で、空気の平均分子量が28.8、窒素ガスの28だから、2.8%分子量が小さくなる。
一方で圧力と音速では圧力の1/2乗に比例して音速が速くなるわけだけど、タイヤの空気圧を2.0(kgf/cm2)から0.1上げると5%なわけで、普通の乗用車より指定空気圧が0.2高いプリウスの場合、チッソの効果なんぞ無視できる程度に十分静粛になってるはずだ。

しかたがないので、「いりません」とだけ答えたらあきらめたようだった。最初から相手の土俵に乗らずにそれだけ言えばよかったのかorz.....

くやしいのでどのくらい音程が変わるのか計算してみた。2を底にした対数表示で0.02ほど違うらしい。一オクターブの2/100程度。カラヤン時代のベルリンフィル(A=446Hz)とニューヨークフィルハーモニック(A=440Hz)よりは違うらしい。

*1:http://www.bridgestone.co.jp/tire_kanri/02/01-5.htmlによれば、60℃240kPaで100日間放置した時のエア抜けの量は半分だそうだ。常温でやらないのは常温ではそれほど空気がぬけないからだろう。スタッドレス夏タイヤのタイア交換の時には100日以上放置してる。窒素だろうと空気だろうとそのままで乗り出せる圧が残ってるとは限らない。で、タイア交換の度に窒素充填できるところに車でタイヤ4本運ぶの?自家用車のタイヤみたいな低圧でよければ米式バルブ対応の自転車用空気入れで自転車よりはるかに楽に入れられるわけで。

*2:自転車用空気入れにはそういう意味で難があるのだけれど、全部自転車用で入れるわけじゃないし、ふだん給油時にガソリンスタンドで調整するようにすればいい。