本質的な問題は産地ではない

 ギョーザ事件を機に国産食料品を見直すなどという話が出ているが、産地の問題ではないだろう。食品が安全かどうかは流通の問題だから。日本で消費者が購入する国産食料品の価格のうち産地のコストは1/3くらいで、あとは流通コスト。これを圧縮しなければいけないというようなことを農林水産省は言い続けていた。一方の外国産にしても、安い外国産商品が普及しない理由は流通が非効率だから原価は安くても消費者が実感できないからだと中曽根政権時代の政府は言っていたし、いまでもそういう論調の主張は多い。流通サービスの取り分を圧縮すべし、バブル崩壊前からの消費税導入の時の内閣も言っていたし、デフレ下の今ではそういう主張は図に乗って流布しまくってる。
 「価格競争しなさい、安ければ買いましょう」を続ける限り産地をどこに変えても安全にはならんでしょ。*1
過去の話をすれば、消費者自身は食品が安全かどうか、見えない所では判断しようがない。だから小売業者を信頼して情報や品質管理にも金を払う。そういう人が多かったという意味で、多くの人が「中流」だったのかもしれない。

*1:むしろ、普通は変えない方がマシ。もっとも今回のギョーザ事件が迷宮入りして毒物混入の原因がわからなかったら変えざるを得ない。原因が分かれば再発防止もできるんだけど。