車間距離が低速で5mとか、高速で40mでは正常に走行できない事に関する考察

参考:
http://www9.ocn.ne.jp/~slowlife/sikakusinnrigaku-image/sikaku-zu6.gif
前方を走行している車両を同速度で追走する状況を考える。
そのとき、ドライバーは各瞬間に前の車を明確に背景から判別出来なければ十分な視覚情報を得られないとする。また、速度に関する情報が得られるのは主に前の車の左右方向の背景であるとする。

人間の目の中心・傍中心視の視野は視線の中心から左右10度程度の範囲しかなく、これを外れると急激に視力は落ちる。1m先のものが短時間でよく見えるためにはその幅は2*sin(10°)≒0.347m以内*1に収まらなければいけない。

前車の幅が1.75mのとき、ドライバーと前車の後端との距離が5.043m*2のとき、中心視野の左右は完全に前の車の後端で占められ、十分な視覚情報は得られない。

おおざっぱに左右におのおの12.5%の余地があれば比較的短時間でも前の車の動きを認識出来ると考えると、必要なドライバーから前車後端との距離は6.724m*3(だいたい車間距離5m)である。

理想的な条件で考えても車間距離が5mを下回れば前車の輪郭から速度を直感する事は難しく、まともに追走することはさらに困難だろう。

これを下回る距離での追走(ジェミニのCMみたいな)を可能とするためには両眼の視差から前車後端のナンバープレートとの距離を読み取り、その情報を元に走行するような情報処理の仕方で運転する事になり、おそらく相当の訓練と、才能が要求されると考えられる。

さて、時速100km程度の高速では視力は大幅に落ちるので、明確な認識のためには左右2°しかない中心視野に対象をおさめなければならない。中心での視力も落ちているので、背景の50%に対象物が見えなくてはいけないとすると、だいたい50m先に前車が居なければ明確に認識出来ないと思われる。

もちろん、もっと複雑な処理を伴うやり方で処理すれば、認識出来るはずだが、短時間でアクセルやブレーキにフィードバックさせて安定した走行を行うのは難しいのではないか。
追記:
フィードバックにかかる時間を指標に運転の困難さをはかる事ができれば、渋滞学はまた進むかもね。*4

*1:追記:普通に考えればsinではなくtanだよなぁ。書いたとき何考えてたんだろう。もちろん10度くらいでは大差ない。2*tan(10°)=0.352

*2:追記:tanで計算すると4.96m

*3:tanで計算すると6.616m

*4:ま、ド素人でもこの程度はすぐ計算出来るから、車間距離5m切ればボトルネックなしでも渋滞するなんてのは研究のメインの成果ではないだろうな。