タイムスケールの話
http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20080508/p3の悪徳リフォーム業者の続き
すぐに手を打たないといけない、っていうのがこの手の悪徳業者の手口。
本来は問題のタイムスケールと対策のタイムスケールにあわせて行動すればあまり問題にならない。
住宅の「予期しうる問題」が「あり得る問題」の95%を占めるとする*1。
私が育った家は洗濯機の排水配管が不良で、床板が腐った*2けど、私が床下に潜って支持構造を壊さずに腐った床板を除去して配管を手直しし、スノコの上に板を載せたものの上に洗濯機を乗っけてそこから10年以上持たせて、私が家を出てからリフォームの時に根本的に直した。
大地震など、100年確率の問題であれば10年で解決しても危険率は10%。予期し得ない問題の二倍程度の危険。
だったら2、3年かけて検討するのがいい方法。
すでに問題が顕在化した場合はじたばたして、一年以内に手をうつ。雨漏りなどで急ぐ場合でも自分で2、3の業者に連絡して現場を見てもらえばいい。新興の業者だけでなく、地元で長い業者も一軒はいれとくといい。多分少なくとも一軒は「すぐにやる安価な応急策」+「根本策」の二段構えの方針を示してくれる。
根本策を考える時間を奪うような選択肢しか示せないのは悪徳か無能かだろう。
これが国の仕組みとなると、役割分担で根本的な構造を示すのが政治家の仕事。新しい構造を作る部材の調達や施工とともに、今ある雨漏りへの応急策とか、構造を変える際に建物が壊れないようにするジャッキの設置とかが行政の仕事という事になる。*3役割分担がうまくいってスムースに構造を転換できるのが良い政治家って事になる。
小泉首相がスゴいのは、今ある屋根をぶっ壊さないと大屋根の掛けかえが出来ない、一部の国民は雨ざらしになりますが、耐えて下さいという事を言っちゃった所だなぁ。結果としてその方がスムースに移行できるのなら方針としてあり得ない話ではない。
だけど、彼の頭の中には大屋根の具体的な構想なんてモノはなくて、屋根を架け替えたいという願望*4しかなくて、屋根の構想は走りながら官僚の力を借りてなんとかしてるように見えたけど。
で、今は構造を壊しながら矢継ぎ早に新構造を繰り出すという手法が定着しちゃった*5ように見えるわけだ。
間接代表による民主主義ってのは、構造のあり方を構想した人が公約としてそれを提示して信認されてってのがスタートラインで、だからマニュフェストだそれなんだって話になる。今ある二大政党の方針ってのは、どっちも改革の継続であって、そうであれば、どう見ても悪徳リフォーム業者まがいの割高な見積もりにしか見えないんだよね。
例えば特別会計に踏み込む、これはいいよ。で、対立する党の求めたのは新しい構造についての議論に参加する事だったんだろうか?でも、与党は将来の構造は与党だけで決めた。対立する党は一時的に暫定税率を停止させる力は持っているので、これを行使して一時的に地方自治体を含む政府の機能不全を起こす事に成功した。与野党ともに改革のためならガソリンがぶちまけられようが企業が倒産して路頭に迷う人が出ようが構わないみたいだ。
顛末を見る限り、いまある二大政党ってのはいずれも「すぐにやらなければいけない事」「一年くらいかけてやること」「政権を超えて取り組む事」というタイムスケールを見せないようにして商売しているように見える。
悪徳政党なのかそれとも無能政党なのか、どっちなんだろうか?