不動産バブルは潰れるのかなぁ

 続きなんですが、「不動産バブルが潰れるのかどうか」はかなり注目して見ているテーマです。
 が、私はいわゆる「バブル景気」時代後半から現在まで一貫して「不動産はバブルだよなぁ」と考えていますし、まだ潰れてないよって感覚です。
 不動産業や個人資産として不動産を持っている方から見れば「そんなのとっくにつぶれてるんじゃないのか?」なテーマかもしれません。
 そのような方々を離れて、銀行を中心とする金融業界を見渡してみると、1980年代後半に入ってからは資金を融資する際、不動産担保を返済能力の評価根拠とする事が一般的で、不動産の担保能力によらない金融は発達して来ませんでした。どんなに稼いでる人がどんなに少額を借り入れしても、不動産を担保とする住宅ローンより低い金利でお金を借りる事はまずできないのではないか、とういうような状況*1に今もあります。
 つまり、あいかわらず銀行は不動産以外の担保や生産性を評価する能力は持っていないし、不動産を持っている人だけには選択的に資金供給し続けている状態が続いているのだということかと思います。金融機関でも、多少工夫はあるのかもしれませんが、本質的な所で何も変わってない、というかむしろ、金融機関は土地神話の復活にむけて努力しているようにしか見えない。

 この10年間、少子化で新世代は現役世代に比べて数が少ないし、独居化もいくとこまで言って世帯数も増えず、空き家率は上がって行ってるし、商業が成り立ちうる範囲は狭まっているし、全般的に土地が値上がりするファンダメンタルな条件は「東京23区レベル」でも存在しないのに、地価は維持され続けて来たように見える。
 一方で、銀行の小手先の知恵に対応して、マンションや住宅地の販売方式を従来の「竣工時完売」から1〜2区画小出しにし、実質的にオークション方式に変更して情報の非対称性を最大限に利用して販売価格と成約率をつり上げたり、高額プレゼントで売り上げ粉飾したり、いろいろやるのが当たり前*2になって、不動産の実勢価格や需要は見えにくく*3なってきています。おまけに規制緩和ブームで恣意的に特定の不動産所有者に行政がプレミアムを贈与してますから、相場なんてあってないようなもんです*4
 で、見えにくくすればするほど低利で潤沢な資金が金融機関や投資会社から流入してきたわけですよね。
 「バブル景気」の崩壊を経験しても、金融は変わらなかったし、生産性の低い部門に資金を集中させる装置であり続けている気がするんだけど。

 日銀のマクロな金融緩和に足かせをはめているのは、金融業界なんじゃないかという気がしてくるよ。

*1:借りてみてわかったけど、金融機関は返済能力の差なんて、ほとんどカウントしませんよ。

*2:そうしなきゃ金利上がるんだから当然やるよね。

*3:担保に取って競売にかけた時の価格はもっとずっと低い

*4:あれは銀行やJRが持ってる土地だから規制緩和してるんであって、需要もないのに全体的に緩和したってさびれるだけでしょ。