過去は物語の中

 この十年ぐらい、日銀が市中に流した貨幣は足りなかったようだし、そういう問題はよろしくなくて、「十分な量+ちょっと」くらいの貨幣を発行した方がいいですよ、という自分の立場は変わらないのだけど、総選挙があったとしてもマクロな話で候補者選び*1とかありそうもないな。
 「バラまき」というのがどうして相手を批難する言葉としてまだ使われてるのか意味不明。そもそも「バラまき」ってのは魚群も見つけずにどこにでも撒き餌を撒く事じゃなくて、自分に票を入れそうな魚群だけに撒き餌を撒く事だろうに。
 ほとんどの政治家とそのブレーンの言及は、撒き餌の調達方法と、撒き餌を撒く魚群の話。「政府の全余力を団塊の世代以上の高齢者に集中し、他の機能は廃止せよ」とか、魚群以外の魚から見たらバラまきの為にやってるようにしか見えないんだよな。

 僕がリフレ派だとしたら、通貨供給は社会のインフラストラクチュアで、分配構造はその上に作るもんだと思ってるからで、直感的に「基礎が穴ぼこだらけの場所をそのまま利用しようとするのはダメ」と考える癖がある程度の話。
 政治家の語るどのバラまき政策もまじめにやるなら通貨供給量を要求するだろうね。そうなってないのは、選挙だけ通ればいいと思ってるからだろう。
 選挙とか総裁選とかって、マクロ経済の財政側の政策を決める重要なポイントだけど、カウンターパートの日銀はそれと独立して事を行う。
 で、この期に及んで政策委員の欠員が2名あるどころか、総裁が外遊中は副総裁が独断で事に当たる(実質的な複数総裁制)とかいう状況で何も*2言及がない。与党対野党の構図であろうと、与党内の権力競争の構図であろうとマクロ経済なんぞ眼中にないって事で、リフレ派とアンチリフレ派でマクロ経済重視派でも作ったらいいんじゃないかな*3

 過去は物語の中で確定しているのだから、日銀はこの十年間M2+CDがどのくらい「あったらよかった」あるいは「あってもよかった」と思っているのかくらいでも教えて欲しいな。

追記:
以下のリンクを参考にしました。
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20080906#p1
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20080913/p1

*1:リフレが選挙のトピックになる

*2:敵失にすら

*3:実際にはアンチリフレ派はミクロ経済重視派かもしれない