五カ年計画の五年目に推計がずれてるのってそんなに大問題なの?

ちょっと前に交通需要推計の見直しで新聞各社が鬼のクビをとったかのように推計の下方修正を叩いていた。叩かれるのが嫌で修正しなかったり、誤摩化したりする方がはるかに悪い気がする。
http://www.asahi.com/politics/update/1122/TKY200811220233.html
(図の拡大はhttp://www.asahi.com/politics/update/1122/images/TKY200811220237.jpg

 02年の予測では、人口は05年から減り始めるものの、女性や高齢者のドライバーが増えると指摘。昨年末にまとめた道路整備中期計画では、この予測をもとに「10年間で最大59兆円の道路整備」を盛り込んだ。ところが、実績は06年時点で予測を5・8%も下回り、見通しの甘さが批判された。

どうなんだろう?
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/jukyu/result-1.htm
平成18年度(2006年度)エネルギー需給実績(確報)から交通需要が結果として現れる運輸部門でのガソリン消費を見てみるよ。*1


01年までの部分から右側部分の想像ができるかって事でしょ?できねえよ。
なら02年当時としては妥当な推計だったんじゃないだろうか?

02年は景気循環で最悪期だし、ガソリン消費が下げに転じたのは2004年、原油価格の急上昇が始まってから。それに、こまかく石油統計をみて、品目別の消費を追っていくと、「プレミアムガソリン」の消費が一番落ちてる。果たしてこれを需要が落ちてると言っていいのか?
 新聞社の方々は02年時点で景気低迷と原油価格の高騰が予期できてたんですか?さぞかしWTI先物買いでうはうは儲かってるんでしょうねぇ、それで赤字が出るほど給料がいいんですか、すばらしいですね。

道路計画なんて五年周期の典型的なPDSサイクルでしょ。わかってる事をベースに五年間の計画をたてて、事業を実施して、五年目に評価して次の計画につなげる。先の事なんてわかんないからそういうふうにやるしかない。
 推計をこまめに見直す事も大事だけれど道路の建設は一年二年じゃできない*2。だから5年はかなり短いよ。

前掲記事つづき

「無駄な道路」への投資に批判が絶えないなか、政府は「必要な道路建設は続ける」と反論してきた。「必要な道路」を判断する際の中心データをそろって見直すことで、道路建設の判断基準が厳しくなるのは必至。交通量が増え続ける前提で進められてきた高速道路整備や借金返済計画に大きな影響を与えそうだ。

無駄な道路がないとは言わないけど、必要な道路はけっこうありそうだよ。
それよりも、国土交通省が「失われた15年」と「原油高」の継続を計画に織り込んだ事がショックだな。*3

追記:
そうそう、このガソリン消費を道路利用実績としてみるグラフ、「構造改革*4がいかに内需の伸びを抑制したか」の絵として見た方が味がありますね。個人的には内需を叩き潰した結果としか思ってない。

*1:実は交通需要の調査結果の信頼性が落ちてるような気がするんですよね。追記:06年実績が00年実績を下回ったって事は、みなさんガソリンをドブに捨てるようになったんですか?値段上がったのに?バイアスかけたか調査精度おちてるかどっちかって気がするけどなぁ。

*2:都市計画決定まで何年、そこから開通まで何年かかると思ってるんだ?

*3:すでに原油下がってるので合ったとしたら偶然だと思う。追加:あるいは02−06の低迷を招いたなにかが継続した事による「こーぞーかいかくのせいか」かもしれませんね。

*4:新規道路建設の凍結と公団民営化