そろそろ音極道さんの出したアルバムに触れてみる
http://www.virtual-pop.com/music/2009/02/the-last-bach-project.html
前のエントリからまた4か月近く間があいてしまって申し訳ありません。予定よりかなり時間が経ってしまいましたが、昨年9月のWEBミュージシャン宣言時に掲げた 「バッハ イタリア協奏曲 BWV 971全楽章の演奏を自ら録音・マスタリングしてiTunes および着うたサイトから有料配信する」という目標を達成できる運びとなりましたのでここに御報告します。
(音極道さんは「電子鍵盤」*1+GarritanのSteinway model Dの音源で、生ピアノではありません、念のため。)
えー、最初に書いときますが、私は音楽は苦手です。
聞くのは大好きだから、この音楽のこーゆーとこが好きなんだってのは言えますが、それ以上はないです。
もちろんピアノも弾けません。小学校では一応バイエルまでやったらしいんですが、わかんないのでやめました。
コード進行?なにそれ?、ですよ。
そんな私にどうしてバッハ弾きの知り合い*2が二人もいて、どうして二人が二人とも、イタリア協奏曲から始めるんでしょうか?
いいですか、イタリア協奏曲ですよ。
素人にとってはイタリア協奏曲といえば、グールドです。
ええ、そうですとも。むーんむーん。
音極道さんもいきなりニコ動/Youtubeで
グールドのテンポに挑戦したりしてます(ブログ記事はhttp://www.virtual-pop.com/music/2008/09/italia-nico1.html)。
一体何の荒行なんだ、と。
だってこのタイトルで釣れた人はグールドと比べるに決まってるでしょ。
そう、イタリア協奏曲を弾く人は「みんなが大好きなグールド」と比較される事に耐えなきゃいけない。
(グールドはこの曲が大嫌いだったそうで)
ケーキで言えば、グールドのイタリア協奏曲は「誰も真似できないシュークリームの王道(むむーん)」みたいな存在です。
しかもみんなどこかでそれを食べた事がある。なんてことだ!
そんなシュークリームを金をとって出そうなんて、恐ろしい事ですよ。
グールドを完全にコピーしたって誰も褒めてくれないんだよ。だってもうグールドは商品になっちゃってる。
バニラを増量する?カスタードと生クリームを合わせる?
さてどういうのが出てくるか、と思って、iTunesで検索して購入してみた。
直接の感想は
1楽章軽いです
2楽章エロいです
3楽章るんたったです
という感じ。
感じた事を素人なりに考え直して翻訳しないと私以外の人にはわからないだろう、ということでもうちっといろいろひねり出してみましょう。
感想の3点は、どんなCDを聞いても、いいなぁ、と思った時には共通する感想だったりもしますので、たいした意味はないです。
音源として聞いた事のあるものとは似ていない(たいしてあるわけじゃないですが)、という気がしました。
グールドと比較しようにも、いや、全然違うものだから、みたいな。
何が違うのでしょう?
まず、電子楽器を利用する事による違いがあります。
生ピアノの実演録音と比べてS/N比が非常によく、雑音がありません。*3共鳴による音の濁りは、スタンウェイを理想的な環境で演奏し、理想的に録音した場合のレベルに抑えられています。
ノイズまで楽しむ、という高度な作業がいらないので、結果的に余計な集中力を要求されずに音楽を聴く事ができるようです。
また、周囲にノイズがあっても、音楽が邪魔されない感じがあります。理想的なリスニングルームなんかなくても、真横で熱くなったコンピュータがファンを回していても楽しめる音源になっています。ある意味iPodで持ち歩くクラッシックにはこういう性質が必要だったのかもしれません。
次に表現の内容ですけど、音極道さんは楽譜をきちんと読んできちんと指で解釈してみせているように見えますが、あまり押し付けがましくない表現が好みのようです。盛りだくさんな表現ではなく、むしろ切り詰めて楽譜とバッハ自身に近づこうとするような、そういう表現の態度なのかもしれません。それが良いか悪いかは私にはわかりませんが。
私は2楽章のエロさを感じ取ったんですけど、音極道さんは別にエロくないのかもしれません。音極道さんがバッハに近づこうとする事で、私の内側のエロさを引き出してくれてるような、そういう間接的な感情の動きなのかも。
長くなりましたが、このへんで無理矢理まとめましょう。
グールドのイタリア協奏曲は「誰も真似できないシュークリームの王道(むむーん)」と書きました。
では音極道さんのイタリア協奏曲はなんなんでしょう?
うーんうーん、難しいなぁ、
でも、強いて言えば、
「氷の質にこだわりまくったスイのかき氷」
なんじゃないでしょうか?
iTunesへのリンクは
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?i=304880939&id=304880929&s=14362
です。
追記:
こういう音楽が、うちから最寄りのCD屋さんまで行って、帰ってくる交通費とほぼ同じ値段で手に入る。すごい事だと思います。得しちゃいました。